EXHIBITIONS

国吉康雄と清水登之 ふたつの道

2018.04.28 - 06.17

国吉康雄 鯉のぼり 1950 福武コレクション蔵

国吉康雄 逆さのテーブルとマスク 1940 福武コレクション蔵

国吉康雄 鯉のぼり 1950 福武コレクション蔵

清水登之 育夫像 1945 大川美術館蔵

 若くしてアメリカに渡り、働きながら美術を学んだ国吉康雄と清水登之。ともに1910〜20年代初めのニューヨークで画家としての自己を確立し、国吉は日本画や古いアメリカ絵画の技法を取り入れた作品で、また清水は哀歓あふれる庶民の暮らしを描く作品で高く評価された。互いに20年代でパリを訪れ、画業をさらに充実させた。

 清水が日本帰国後に国吉の成功を称える文章を雑誌に寄稿するなど交流を持ち続けた2人だが、後半生は戦争によって大きく異なる道を歩んだ。国吉は日米開戦後もニューヨークの画壇や母校アート・スチューデンツ・リーグでの立場からアメリカに残り、清水との共通の友人でもある石垣栄太郎・綾子夫妻とともに日本の軍国主義に対抗する活動を行った。いっぽう、27年に帰国した清水は早くから戦争を主題とする作品に取り組み、中国や東南アジアの戦場に従軍。愛息・育夫をアメリカとの戦争で喪い、深い悲しみのなかで45年12月、疎開先の栃木の生家で没した。

 本展では、20世紀前半の日本とアメリカに生きた両者の生涯と作品を対比させて展示。ニューヨークでともに活動した石垣、古田土雅堂(こたと・がどう)、清水清や、アート・スチューデンツ・リーグでの師、ジョン・スローン、ジョージ・ベローズらの作品もあわせて紹介する。