EXHIBITIONS

柚木沙弥郎の染色 もようと色彩

2018.04.03 - 06.24

柚木沙弥郎 型染むら雲三彩文着物 1967

柚木沙弥郎 型染むら雲三彩文着物 1967

柚木沙弥郎 型染蓮文飾布 1982

柚木沙弥郎 型染飾布「メキシコ人物」 1970年代

 日本民藝館創設者・柳宗悦の思想と染色工芸家、芹沢銈介の作品に啓発され、染色家の道を志した柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)。自身の制作の傍ら、女子美術大学で後進の育成に力を注ぎ、近年はフランス国立ギメ東洋美術館など国内外で展覧会を開催するなど、いまなお旺盛な創作を続けている。

 柚木は主軸とする布への染色のほか、ガラス絵、版画、立体、絵本、ポスターなど多様な分野にも積極的に取り組んできた。好奇心に起因するこれらの活動は、視点を変えれば、形式化や惰性に陥りやすい工芸という営みの中で、自作を生き生きした境地へ循環させるための推進力だとも言える。

 「模様の意義を解く事と、美を解く事とは同一の意味がある」「よい模様は直観で捕えられた本質的なものの姿である」「凡ての無駄を取り去って、なくてはならないものが残る時、模様が現れる」(『模様とは何か』、1932年)と説く柳の指標を真摯に追い、約70年の制作活動で生命感のある模様と鮮やかな色彩が際立つ作品を手がけてきた柚木。

 本展では、そんな柚木の染色に焦点を絞り、作家からの新規寄贈品と美術館の所蔵品を中心に多彩な作品群を紹介する。

 協力=岩立フォークテキスタイルミュージアム/大阪日本民芸館