EXHIBITIONS

faro WORKPLACE LAB vol.1

Mrs.Yuki「Rendez-vous」

2024.12.22 - 2025.02.08

Mrs.Yuki

 FARO中目黒/faro WORKPLACEで、Mrs.Yukiによる個展「Rendez-vous」が開催されている。

「faro WORKPLACE LAB(研究室)」は、エマージングアーティストやタイムリーな作品を紹介するプロジェクトだ。第1弾として、生物学的視点から作品を制作するユニークなユニット、Mrs.Yukiの展覧会を開催。

 Mrs. Yukiは、自然界の遺伝交配に関心をいだいた平嶺林太郎(1983〜)と、爬虫類や昆虫が持つ形状や色彩に惹かれる大久保具視(1982〜)により、2009年に結成されたアーティストユニット。ユニット名「Mrs. Yuki」は、個々のアイデンティティを曖昧にし、共同での創作活動を強調している。ボールパイソン(ニシキ蛇)の飼育・繁殖を起点に、生物学的観測と彫刻的造形を統合した作品を制作。制作の過程において、生物の自然な動きを取り入れたり、生物そのものを組み込むことにより、アーティストの意図やコントロールを超えた、造形における協働性や自然のかたちを重視。生命の固有性と種別、多様性の複雑な関係を探求し、視覚的に表現している。

 本展に際して、作家は次のように述べている。

「Mrs. Yukiは、蛇とともに作品を展開してきた。

 絵画作品《Rendez-vous》では、神話とも深い関わりを持つ蛇と人間とのセッションによって生まれた痕跡が残されています。画家は豚や馬、狸などの動物の体毛を絵筆として用い自らを表現していきますが、私たちは、蛇の鱗や筋肉の蠕動によって刻まれた痕跡を絵画にとどめています。

 この表現に至った背景には、街中で見かけるモルタルに残された鳥や猫の足跡に触れ、その場にいない生き物たちの存在を強く感じた経験があります。飼育する蛇の足の名残を知り、その痕跡を作品として残したいと思うようになりました。そうして生まれた〈Footprint〉には、書の筆致を模し、墨汁で染めたモルタルの作品も含まれています。

 このような制作活動のなかで、私たちMrs. Yukiは、自らの作品を通じて作家性やお互いの存在とは何かを繰り返し考え、向きあい続けてきました。

 最新作である鏡を用いた作品《Kaga》は、その反射を螺旋状の、また左右非対称の貝殻を介して表現し、非対称から対称へと変化する形を追求しています。これにより、Mrs. Yukiのふたりが作品を通してひとつになるという、視覚的な結論を感覚的に形成したものです」(展覧会ウェブサイトより)。