EXHIBITIONS

加藤巧「Shadow Works」

2025.01.09 - 01.26

加藤巧 To Scratch (Micro-organisms in the strata) 2024年

 the three konohanaで加藤巧の連続個展「Shadow Works」が開催される。

 加藤は自らの絵画および美術表現をさらに深めるべく、各地で精力的な制作・発表活動を続けている。2022年に東京のgallery αMで開催した「αMプロジェクト2022 判断の尺度」(ゲストキュレーター:千葉真智子)の個展「To Do」では、制作にまつわるあらゆる行為とそこに含まれる政治性に焦点を当てた新作を中心に発表。さらに23年夏にフィンランドのイーでおこなった滞在制作では、現地の建物の外壁塗装などに日常的に使われてきたライ麦粉を主成分とした塗料を調査し、その成果を自らの作品制作に反映させるとともに、その活動記録をまとめた冊子も発行した。

 加藤の作品制作の特徴は、絵画技法および材料の研究が同時並行に進められることだ。絶え間なく手元に現れる現象や行為の蓄積を日々観察し続けることと、それをもとにした試みから現れるあらゆる結果が、加藤の制作における原動力と言える。さらにそのなかから、画家として生きる加藤の存在意義と、自ら取り組む分野への信頼をも見出している。そのような姿勢でつくられる作品には、表に現れないプロセスがその背後に数多く含まれ、その産物として発表を前提としない作品が常時生まれている。

 本展は、11月から12月に開催された「愛情、畏敬、恭順、忍耐」に続く個展となる。会場では、個展「愛情、畏敬、恭順、忍耐」の作品制作のプロセスのなかで生まれた作品のほか、以前から取り組んでいた蜜蝋を主体に使った作品など、加藤の試行錯誤や材料および自らの行為の観察の痕跡が随所に反映されている作品群を紹介する。