泡ひとつよりうまれきし　山内光枝展

　対馬博物館で「泡ひとつよりうまれきし　山内光枝展」が開催されている。

　美術家の山内光枝は2010年ごろ、海女村として知られる対馬の曲（まがり）集落で撮影された裸の海女がたたずむ一枚の古い写真と出会う。それまで抱いていた日本人像や人間像から解放されていくような衝撃を受けた山内は、その後現在にいたるまで、おもに黒潮・対馬暖流域の浦々で滞在をかさねながら表現活動に取り組んできた。

　本展では、山内の作品だけでなく、曲のひとが復元制作した海女船や曲に伝わる海女漁の道具、また、写真家・芳賀日出男がとらえた曲の海女の写真なども展示。10数年にわたって曲を軸に創作を続けてきた山内光枝が、海と人間の営み、そして、記憶にまつわる物語を紡ぐ展覧会だ。