EXHIBITIONS

TOKAS-Emerging 2024

2024.04.06 - 05.05, 2024.05.18 - 06.16
 トーキョーアーツアンドスペース本郷(TOKAS)で「TOKAS-Emerging 2024」が開催されている。

 本展は、若手アーティストの活動支援プログラムとして、2001年より行っている。日本国内を拠点とする35歳以下のアーティストを対象に公募を行い、個展開催の機会を提供している。「TOKAS-Emerging 2024」では全国から142組の応募があり、審査を経て6名を選出。

 第1期では高見知沙、中村直人、奥野智萌の作品を紹介する。

 高見は、ひとつの意味に回収できない、折りあいのつかない状況がもたらす、危うさや脆さ、葛藤、不安定さなど、そこにある距離間について制作している。本展では「両義性」、「間(ま)」、「媒介するものの存在」をテーマに、映像やパフォーマンスなど4作品によって構成。

 中村は、集合住宅を舞台とした小説を執筆し、その物語を実空間へと立ち上げた作品を制作している。本展では、集合住宅や部屋の断片を題材に、映像、音、家具を組みあわせたインスタレーションを発表。

 奥野は「モチーフのデフォルメ」と「通訳」をキーワードに、漫画をはじめとするさまざまなメディアを用いて、自身と異なる身体を持つものが見ている世界について創作活動を行っている。本展では、360度の視野を持つというウサギが知覚する世界を描いた銅版画を中心に、映像や立体作品を発表。

 第2期では、平松可南子、菊谷達史、戸田沙也加の作品が展示される。

 平松は、蟻の巣の周りにある砂山や水たまり、噴水など、繰り返し現れ、その度に変化するものをモチーフに、描くという一回性の行為を接続させながら、空間構成を含めた絵画表現を探究している。本展では、蟻が地下に広がる巣から砂を運び出す行動を、絵を描くことやそれらを並べる行為に重ねあわせ、絵に正対するだけでは見ることのできない多角的な視点を取り入れた空間づくりを試みる。

 菊谷は、「描く」の定義を、絵筆で対象をとらえることから、カメラで対象を追うことにまで拡張させ、絵画と映像作品を並行して制作している。本展では、現在リサーチしている「ある犬」を題材にしたドローイング・アニメーションを発表する。

 戸田は美しさと醜さを表裏一体ととらえ、その醜美の世界観をおもに女性や動植物の形をとおして絵画や写真で表現している。本展では、テラコッタの裸婦像を生涯にわたりつくり続けた物故作家のアトリエに残された裸婦像をテーマに、語られることのない姿をとらえた映像と写真作品を発表する。