EXHIBITIONS

磯江 毅 TSUYOSHI ISOE

磯江 毅 Bodegón 1993

 ギャラリー石榴で、企画展「磯江 毅 TSUYOSHI ISOE」が開催されている。

 透徹した眼差しと高い描写力によって、生死を内包したかのような、深い精神性を感じさせる磯江の絵画。本展では、30余年の画業の前半戦、 20代から30代までの作品による展覧会として、グスタボ・イソエをアーティスト・ネームとし、本格的にマドリードで発表を始めた20代中頃の自画像ドローイング、モデルを前に繰り返した人体素描、そして「台所の物」を意味し、17世紀以降スペインで描かれてきた静物画=Bodegón(ボデゴン)を踏襲した油彩3点のほか、スペインから帰還した作品を中心に、日本では未発表の作品を含む計7点を展示する。

 磯江は自らの写実表現を「角膜に受動的に映る映像を根気よく映す行為ではなく、空間と物の存在の中から摂理を見出す仕事」と定義づけているという。本展は、一貫して「見るということ」の深淵に立ち続けた磯江が、晩年に至った境地に達するまでの道程を追想する機会となるだろう。