EXHIBITIONS

鈴木のぞみ

Monologue of the Light

2017.04.01 - 06.04

鈴木のぞみ 屋台に並ぶ椅子、座面の穴から 2016

 鈴木のぞみは、日常の事物に潜む像の可視化を写真を通して試み続けている作家。本展では、日常の事物の穴をピンホールに撮影した “Monologue of the Light” や、かつて窓越しに眺められていた風景を直接窓ガラス自体に定着した “Other Days, Other Eyes” などのシリーズを発表する。

 “Monologue of the Light” は、身近な事物に既に開いている穴を探し、その穴を使用したピンホールカメラとして、感光材までの焦点距離に合わせた凸レンズを取り付け、他の光を遮光して撮影した写真作品。日常では他の光に紛れて目にすることはないが、それらの穴によって結ばれている光の像は、独り言を囁くように確かに存在している。また、事物の穴には、その機能や意匠から穿たれた穴や、その一部が欠落することで開いた穴など、穴が存在するまでに様々な経緯があり、穴から写し出された光景にその土地の文化や物語を垣間見ることもできる。穴から写された光景は事物のまなざしであり、人間の主観や意図を超えた視点で捉えた日常が写し出されている。

 “Other Days, Other Eyes” では、役目を終えた窓ガラスに、かつてその窓ガラス越しに眺められていた風景を直接定着している。イギリスのSF作家、ボブ・ショウの作品に描かれた発明品であるスロー・ガラスのように、窓ガラスが過去の記憶や時間を蓄え、身体を与えられた写真へと変容して私たちの前に現前し、過去の光を遅れて届ける。