EXHIBITIONS

北山善夫展「歴史=理性・感情」

2023.09.17 - 10.09, 2023.10.28 - 11.19

北山善夫 歴史=理性・感情 2021

 MEMで「北山善夫展|歴史=理性・感情」が開催されている。

 北山善夫は80年代に竹や和紙で構成された立体作品で注目され、1982年第40回ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館で展示。その後もカーネギーインターナショナル展、インド・トリエンナーレ、バングラデシュ・ビエンナーレと多くの国際展に参加した。国内では、「大地の芸術祭 越後妻有アート・トリエンナーレ2000」、「瀬戸内国際芸術祭2010」に参加しており、今年9月23日からは「奥能登国際芸術祭2023」にも参加している。

 幼い頃に大病を患い長い入院生活や、思う存分に身体を動かせない状況から、北山は「生きること」「この世界とは」という問いを作品で表現し続けている。竹や枝のあいだに和紙を貼り色をつけることで、色面の効果も取り入れていき、壁から飛び出る絵画のようなレリーフ作品を数多く制作した。作品が巨大になると、モニュメントとして公共施設にも作品が設置されるようになり、愛知芸術センターの吹き抜けには国内最大の作品《私(あなた)》が設置されている。

 立体作品をメインに発表する傍ら、82年からは紙とインクによる絵画も制作し始めている。初期は約200×150センチメートルの大きな紙に小さな人物や小舟、山など描くだけだったが、次第に立体制作から線の存在や空間性を獲得し始め、絵画空間の密度が増していく。90年代半以降は絵画がメインとなり、油粘土で造形した人体を克明に描く「偶像図」と、無数の星が集まる銀河のような「宇宙図」と、ふたつのシリーズを並行して制作し始める。

 そして近年は、80年代の立体作品を自身で再考察し、再開している。それは再制作ではなく、絵画を追求しある境地へ辿り着いた作家が改めて自身の表現の深淵に挑む姿勢でもある。本展は絵画を中心とした前期と、立体を中心とした後期に分けて展示する。