EXHIBITIONS
杉本博司 本歌取り 東下り
渋谷区立松濤美術館で「杉本博司 本歌取り 東下り」が開催される。
杉本(1948~)は、和歌の伝統技法「本歌取り」を日本文化の本質的営みととらえ自身の作品制作に援用し、2022年に姫路市立美術館でこのコンセプトのもとに「本歌取り」展を開催した。本歌取りとは和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌(本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌をつくる手法のことだ。
姫路で始まった杉本の「本歌取り」展は、今回、東国である東京の地で新たな展開を迎えることから「本歌取り 東下り」と題された。本展を象徴する作品である《富士山図屏風》は、東国への旅中に、旅人が目にする雄大な富士山を描いた葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした新作で、本展で初公開となる。このほか、書における臨書をもとに、写真暗室内で印画紙の上に現像液又は定着液に浸した筆で書いた《Brush Impression》シリーズなど、本展は新作を中心に構成される。
いっぽう、中国宋時代の画家である牧谿の水墨画技法を本歌とした《カリフォルニア・コンドル》など、杉本の本歌取りの代表的作品もあわせて展示。さらに、室町時代に描かれたと考えられる《法師物語絵巻》より「死に薬」を狂言「附子」の本歌と捉え、そのほかの8つの物語とともに一挙公開する。 現代の作品が古典作品と同調と交錯を繰り返し、写真にとどまらず、書、工芸、建築、芸能をも包み込む杉本の世界とその進化の過程を見ることのできる展覧会となっている。
杉本(1948~)は、和歌の伝統技法「本歌取り」を日本文化の本質的営みととらえ自身の作品制作に援用し、2022年に姫路市立美術館でこのコンセプトのもとに「本歌取り」展を開催した。本歌取りとは和歌の作成技法のひとつで、有名な古歌(本歌)の一部を意識的に自作に取り入れ、そのうえに新たな時代精神やオリジナリティを加味して歌をつくる手法のことだ。
姫路で始まった杉本の「本歌取り」展は、今回、東国である東京の地で新たな展開を迎えることから「本歌取り 東下り」と題された。本展を象徴する作品である《富士山図屏風》は、東国への旅中に、旅人が目にする雄大な富士山を描いた葛飾北斎の《冨嶽三十六景 凱風快晴》を本歌とした新作で、本展で初公開となる。このほか、書における臨書をもとに、写真暗室内で印画紙の上に現像液又は定着液に浸した筆で書いた《Brush Impression》シリーズなど、本展は新作を中心に構成される。
いっぽう、中国宋時代の画家である牧谿の水墨画技法を本歌とした《カリフォルニア・コンドル》など、杉本の本歌取りの代表的作品もあわせて展示。さらに、室町時代に描かれたと考えられる《法師物語絵巻》より「死に薬」を狂言「附子」の本歌と捉え、そのほかの8つの物語とともに一挙公開する。 現代の作品が古典作品と同調と交錯を繰り返し、写真にとどまらず、書、工芸、建築、芸能をも包み込む杉本の世界とその進化の過程を見ることのできる展覧会となっている。