EXHIBITIONS

没後50年

藤田嗣治 本のしごと -文字を装う絵の世界-

藤田嗣治 1928頃 撮影=アンドレ・ケルテス ullstein bild / Uniphoto Press

藤田嗣治 1928頃 撮影=アンドレ・ケルテス ullstein bild / Uniphoto Press

 エコール・ド・パリの代表的な作家、藤田嗣治。日本画の技法を油彩画に取り入れ、「乳白色の肌」の裸婦像などを描いた藤田の画業の中でも、挿絵を中心に紹介する回顧展が開催される。

 1886年、陸軍軍医の次男として東京に生まれた藤田は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の西洋画科で学んだ後、1913年に渡欧。19年にサロン・ドートンヌに出品した6点すべて入選し、翌々年同展に出品した作品が人気を博してパリ画壇での評価を確立した。とりわけ1920年代初頭に発表した乳白色の肌をもった裸婦像は、藤田独自の表現として当時のヨーロッパで高い評価を得ている。

 フランスで画家としての地位を確立した藤田は、絵画だけでなく挿絵本の仕事にも積極的に取り組んだ。ヨーロッパでは挿絵本の歴史は古く、書物としてだけでなく芸術作品としての価値も有しており、特に19世紀後半〜20世紀にかけて、愛書家たちが希少性の高い挿絵本をの収集。ピカソやシャガールらによる挿絵本が出版されその人気が高まるなか、藤田も初めての挿絵本『詩数篇』を手がけ、1920年代には30点以上を出版した。

 本展では戦前のフランスで発行された藤田の挿絵本、1930年代〜40年代の日本での出版に関わる仕事、50年にフランスへ移住した後の大型豪華本の挿絵などの「本のしごと」を中心に、絵画や版画といった「絵のしごと」、さらには藤田が友人に送ったハガキや絵手紙、手づくりのおもちゃ、陶芸作品なども展示し、画家の幅広い制作活動を紹介する。