EXHIBITIONS

和歌山県立近代美術館 コレクション展 2023 - 春

特集:新収蔵 奈良原一高の写真

奈良原一高 壁の中(〈王国〉より)1956–1958 ©Narahara Ikko Archives

奈良原一高 緑なき島 軍艦島:地下道(〈人間の土地〉より) 1954–1957 ©Narahara Ikko Archives

 和歌山県立近代美術館で「コレクション展 2023 - 春 特集:新収蔵 奈良原一高の写真」が開催されている。

 奈良原一高(1931〜2020)は戦後日本の写真家。福岡県大牟田市に生まれ、東京ほか欧米各地を制作の場として活躍。その制作においては、隔絶された限界状況での生きる意味を問いかけるドキュメントで、大きな反響を呼んできた。

 今回の展示では、「人間の土地」、「王国」、廃墟となった軍需工場を撮影した「無国籍地」といった奈良原の1950年代における3つの重要なシリーズから、総勢95点を紹介。

 自らの方法を「パーソナル・ドキュメント」と位置づけ、戦後の写真表現の新たな地平を切り開いた奈良原一高。本展は、その活動の軌跡を見つめ直す機会となるだろう。

 会場内ではこのほかにも、戦後において新しい版画の世界を切り開いた関西の作家の表現や、キュビスムの影響下に制作された近代から現代にかけての彫刻などの同館コレクションが展示されるという。