EXHIBITIONS

とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家

2023.02.04 - 04.09

池田満寿夫 愛の瞬間 1966 広島市現代美術館蔵

加藤正 第 2回「デモクラート美術展」ポスター 1953 和歌山県立近代美術館蔵

靉嘔 倦怠 1955 個人蔵

吉原英雄 きりきり舞い b 1956 個人蔵

瑛九 鳥のピアノ 1957 和歌山県立近代美術館蔵

泉茂 闘鶏 1957 和歌山県立近代美術館蔵

 和歌山県立近代美術館が企画展「とびたつとき 池田満寿夫とデモクラートの作家」を開催。広島市現代美術館の協力を得て本展では、マルチタレントとして知られた版画家・池田満寿夫(1934〜1997)をキーパーソンとして、池田が交流した「デモクラート美術家協会」の作家たちの作品とともに戦後日本の版画を見直す。

 旧満州国・奉天で生まれ、終戦の年に父母と長野に引き揚げた池田満寿夫。高校を卒業後に画家を志して上京、東京藝術大学を受験するも3回の失敗を経験し、そうした頃、1955年に大阪の「デモクラート美術家協会」の結成メンバーである靉嘔(あいおう・えいきゅう)に出会った。 

「既成画壇に出品しないこと」が唯一の参加条件というデモクラート美術家協会には自由を求める作家たちが集まり、大阪と東京に拠点を広げて活動していた。とりわけ多くの人々に見てもらえる版画の制作に注力した同グループの瑛九の薦めで、池田もデモクラートの若手のひとりとして参加。関西を拠点にする泉茂や吉原英雄、東京の靉嘔や加藤正らと交流を続け、美術評論家・久保貞次郎などの援助を受けて銅版画の制作に打ち込んだ。

 デモクラート美術家協会の解散後も、版画作品の制作を続けた池田や活躍を見せた若い画家たち。本展では1950年代から66年頃までの池田満寿夫の作品とともに、池田が影響を受け、また交遊のあった作家の作品を紹介し、当時世界を席巻した日本の版画を振り返る。出展作家は、靉嘔、池田満寿夫、泉茂、磯辺行久、瑛九、加藤正、利根山光人、舩井裕、吉原英雄ら。

 なお本展覧会は、和歌山県立近代美術館での開催後、宇都宮美術館(4月30日〜6月18日)、長野県立美術館(9月9日〜11月5日)、広島市現代美術館(2024年1月20日〜3月17日)へ巡回予定だ。