EXHIBITIONS

合田佐和子展 帰る途もつもりもない

三鷹市美術ギャラリー
2023.01.28 - 02.26, 2023.02.28 - 03.26

ばらの天地創造 The World Creation of the Rose 1997 高知県立美術館蔵

 三鷹市美術ギャラリーで、「合田佐和子展 帰る途もつもりもない」が開催されている。

 合田佐和子(1940〜2016)は、1965年の個展デビュー以来、オブジェや絵画、写真といったメディアを横断しながら創作活動を展開した美術家。

 幼少からの収集癖と手芸を融合させた「オブジェ人形」で作家活動をスタートさせたのち、作風は次第に奇怪でエロティックな立体へと変容。1969年以降は、唐十郎や寺山修司によるアングラ演劇の舞台美術やポスター原画の制作も手がけた。

 70年代から独学で始めた油彩画では、往年の銀幕俳優たちのポートレートを独自のグレーがかった色調で描き出し、「異色の女性美術家」として世間の注目を集める。エジプト滞在を境に、90年代以降は一転して明るいパステル調の作風に変化。内省に基づく独自の制作理論の実践へと移行した。

 当時の社会通念や因習にとらわれない暮らしのなかで花開いた合田の表現は、ファッションや映画、音楽などの領域と高い親和性を示し、様々な分野の表現者から熱く支持された。いっぽうで、その仕事はあくまで個人的・趣味的なものと見なされる傾向もあった。

 没後初の大回顧展となる本展では、初期のオブジェから初公開となる晩年の鉛筆画シリーズまで約300点を展示。多様な作品・資料を通してその創作活動を検証し、途なき途を駆け抜けたひとりの美術家・合田佐和子の全貌に迫る展覧会となっている。

 なお、本展は会期中一部展示替えを行う。