ジェイソン・ベレスウィル「L’Appel du Vide」

　MAKI Galleryは表参道ギャラリーにて、ジェイソン・ベレスウィルの日本初個展「L’Appel du Vide」を開催する。

　ベレスウィルは1980年ニューヨーク生まれ。在はニュージャージー州ランバートビルを活動拠点としている。ベレスウィルは制作において、自身の自然、スポーツ、旅行、美術史への深い関心をもとに、生気あふれる風景画を生み出す。その風景画は、鑑賞者に「そこにいる」という感覚を呼び起こさせるほどに、その土地の色や光、エネルギーを臨場感ある巧みな描写でとらえている。

　ベレスウィルの作品のなかには、広大な場面を俯瞰的に描いているものもあれば、風景の一部を文脈から切り離してひとつの物体として表現しているものもある。また近作では、風景のなかに描かれる人物が緻密に構成された設定のなかで、作品のナラティブを展開させる存在として重要な役割を果たしている。

　本展では、ベレスウィルの代表的なテーマであるサーファーやアイビー、グランドキャニオンなどを含む18点のペインティングを紹介する。

　展覧会のタイトル「LʼAppel du Vide」は、「虚無の呼び声」と訳すことができ、高所に立ったときにそこから飛び降りたくなるような予期せぬ衝動を指す。ベレスウィルはその病的な現象を体験した時に創造的な衝動との類似性を見出したという。自然と人間の関係性を題材に、この世界を改めて考察させるベレスウィルの風景画は、その土地の色や光、エネルギーを臨場感ある描写でとらえながら作家独自の世界観へと鑑賞者を引き込む。