EXHIBITIONS

あざみ野フォト・アニュアル2023

横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展 写真をめぐる距離

オートグラフィック・コダック・スペシャル イーストマン・コダック・カンパニー 1914

アダムス・トロピカル・ミネックス/アダムス & カンパニー 1909

ポストカード『彼女はフランスにいる息子を見る』 キーストーン・ヴュー社 1917頃

 横浜市民ギャラリーあざみ野の展覧会「あざみ野フォト・アニュアル」では、毎年、写真表現の現在を切りとる企画展と横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展を同時開催してきた。2023年のコレクション展は「写真をめぐる距離」と題し、同館が収蔵しているカメラや写真、関連資料を紹介する。

 19世紀に写真が誕生してから、写真家たちは眼の前にあるものから遠く離れた天体まで、様々な対象を撮影してきた。それぞれの距離にある被写体を画面に求める大きさでおさめるために、多種多様なレンズが発展していくとともに、被写体までの距離とレンズの関係で決まるピントの調節は、20世紀に距離計連動カメラやレフレックスカメラが発達したことで、ファインダーを覗きながら行えるようになり、撮影スタイルに大きな変化をもたらしている。

 19世紀から20世紀へ、機材の進化に支えられて撮影された写真は、いまではプリントとして流通することによって、著名人の容貌や危険な戦場、遠い異国の風景など、近づくことが難しいもののイメージを至近距離で見ることを可能にした。

 本展は、撮影者と被写体、写真を見る人と被写体の距離、カメラが持つ距離に関する機構など、写真にまつわる様々な「距離」をキーワードに、写真技術の発展と写真表現の関係を探る。