EXHIBITIONS

津上みゆき 個展「囁く如く」

津上みゆき View, A River, No.05, 2022 2022
撮影=三嶋一路 ©︎ Miyuki Tsugami Courtesy of ANOMALY

津上みゆき View, A River, No.01, 2022 2022
撮影=三嶋一路 ©︎ Miyuki Tsugami Courtesy of ANOMALY

津上みゆき View, A River, No.06, 2022 2022
撮影=三嶋一路 ©︎ Miyuki Tsugami Courtesy of ANOMALY

 津上みゆきの個展「囁く如く」がNADiff a/p/a/r/t (地階NADiff Galleryおよび1階書店フロア)で開催。川を題材とした大型キャンバス作品の新作を発表する。

 津上は1973年生まれ。神奈川県在住。京都芸術大学大学院修了。1996年のニューヨーク滞在中に制作、作品について再考する機会を得て、帰国後、独自の絵画を改めて探求し始めた。2003年VOCA賞受賞。2005年大原美術館が行う滞在制作プログラムにおいて、日々のスケッチをもとに風景画を描くという現在まで続く制作方法を確立。すべての作品のタイトルには「View」という言葉を冠している。

 津上にとって、作品タイトルに冠された「View」の語は、たんに眺めや⾵景だけを主題にするのでなく、⾒⽅や観点という広義を意識した制作に取り組んでいることを示しているという。日々行うスケッチを通して、見て描くことから導かれる眼前という場所性、土地の由縁や歴史を踏まえ、津上の風景画は過去から現在までの流れる時間をも表現している。

 本展では、NADiff a/p/a/r/tの近隣を流れる都心の川の取材を経た⼤型作品群を、地下のギャラリーにて発表。かつての水脈の気配を感じるひっそりとした地下空間で、川をめぐる現在の風景に土地の歴史を重ね合わせた作品群が迫るように鑑賞者を取り囲む。

 また1階の書店空間では、貴重な作家のスケッチブックとともに新作のキャンバスや繊細な紙作品、そして版画⼯房 エディション・ワークスでこれまでに制作してきた全版画作品も展⽰。作家にとってかけがえのないモチーフとなっているアトリエ脇の早咲きの桜の⽊の様々な時を描いた作品を中⼼に、津上の作品を総覧できる貴重な機会となる。

 なお本展はCADAN 有楽町での個展「さらさら、ゆく」(11月22日~12月11日)と同時開催となる。