ヴァシリス・アヴラミディス「Understory」

　ギリシアの現代アーティスト、ヴァシリス・アヴラミディスの個展「Understory」が銀座のヒロ画廊で開催される。日本では3年ぶりの新作発表となる。

　アヴラミディスは1981年生まれ。これまで数多くの有名アーティストを輩出したロンドンの名門芸術大学セントラル・セント・マーチンズを卒業し、現在はギリシアとイギリスを拠点に、ヨーロッパとアメリカを中心に活動している。

　アヴラミディスの作品では古典絵画を思わせる静物や風景、むせ返るように生い茂る植物、ときにそれらのモチーフと融合した人物などが共通して描かれており、超現実的な絵画空間を形成している。一点一点が高い完成度と作家の技量を感じさせるものだが、アヴラミディスはその表現を変化、発展させ続けている。

　今回の最新作は「純粋な形、明暗、コントラストによって主題を表現するため（作家ステイトメントより）」、白と黒のモノクロームで描かれた。これまでの作品との連続性を感じさせながらも、詳細かつ印象的に描き込まれた「手」、画面のなかで入れ子のように区切られ時に手で掴まれる「空間」そのものの表現には、新たな試みも見て取れるという。

　展覧会タイトル「Understory」は森林の生態を表す用語で、森のなかで背の低い樹木が生えている、地面に近い階層を指す。森林の外側からは見えないところで繁茂する植物の様子は、アヴラミディスの思想や追求するテーマをほのめかすようでもある。