EXHIBITIONS

畠山耕治 青銅を鋳る

畠山耕治 青銅で在ること 2022 撮影=渞忠之

畠山耕治 白銅の箱(A Small, Little Thing) 1999 撮影=渞忠之

畠山耕治 十の面 2007 撮影=渞忠之

 菊池寛実記念 智美術館では、展覧会「畠山耕治―青銅を鋳る」を開催している。

 畠山耕治は1956年生まれ。鋳物の歴史を持つ富山県高岡市を拠点に活動する金属作家。青銅を素材とした鋳金による造形に創造性を示し、抑制の効いた造形と臨場感のある表情が特徴の作品を手がけてきた。

 鋳物をつくる鋳金は型に合わせて複雑な形状をとることのできる技法だが、畠山の場合、「青銅の存在そのものを鋳込む」という自身の制作欲求と造形感覚を、直線とわずかな曲線で構成したシンプルな造形に表している。そしてその造形に、薬品や熱などによる化学反応で色彩と質感を創出し、青銅の造形に命を吹き込んでいる。

 本展では畠山を代表する制作として、箱をはじめとした器形態の作品を展示し、鋳金の可能性と独自性、自立性の確立を求めてきた初期から現在までの活動を展覧する。さらに、橋の親柱や街灯、ビルやレストランの壁面、扉などの建築分野の仕事にも注目することで、畠山の視点が工芸だけではなく、空間や景観まで含めた鋳造技術全般にあることを紹介する。