笠井麻衣子

　日常の中で目にした風景をもとに、自身の想像で物語を作り上げる笠井麻衣子。

　近年ではとりわけ、物語と絵画の関係性について追求しながら絵画制作。勢いのある筆触とキャンバスの余白を生かした絵画に少女や動物、着ぐるみなどの社会的に未分化な存在を登場させ、背景と同化するような曖昧な構図と色彩で描くことによって、物語的でありながら抽象的な世界を表現している。

　2年ぶりの作品発表となる本展では、絵画が持つ物語性を、西洋絵画の伝統的なモチーフを用いて探求した新作を公開。知恵、工芸、戦略を司り、あらゆる光景を俯瞰するギリシア神話の女神、アテナが傍らに従えた梟の眼差しになぞらえ、日常とは違った角度で物事を捉えることを試みる。