EXHIBITIONS

黒宮菜菜「鳥を抱いて船に乗る」

2022.10.01 - 10.29

黒宮菜菜 船に乗る #2 2022

 ギャラリーノマルは、画家・黒宮菜菜の新作個展「鳥を抱いて船に乗る」を開催する。

 黒宮は1980年東京都生まれ。2019年に大原美術館(岡山県倉敷市)の若手作家支援事業「ARKO」に招聘され、同館で作品を発表したほか、翌年3月に開催されたVOCA展への参加で佳作賞を受賞するなど、近年着実に評価を高めている。

 黒宮の作品は、主に人物像をモチーフとして、液状に溶いた油絵具による油彩作品と、重ねた和紙に染料を滲ませて描く紙作品の、2つタイプの技法を使い分けて制作される。画中に描かれた境界が曖昧で幻想的なイメージは、見る人の想像力を喚起させ、曖昧であるためにより強い印象を残す。また絵具が流れた痕跡からは、様々の移ろいが美しくまた儚くも想起させられる。

 黒宮は、前回、2020年のギャラリーノマルでの展覧会にて新しいイメージの展開として、自身で考えた物語のワンシーンを切り取って描いた新シリーズを発表。実際にある小説から題材を取ったそれまでの作品から、より作家の描きたいテーマに寄った、自由で見る人の想像力がより掻き立てられる展示となった。

 本展では、日本の古墳時代にまでさかのぼり、実際にあったであろう史実をもとに、当時の人々の死生観や自然との関わりに着目。時空を超えて人間の根源的な本性を探る作品を展開する。また今回は油によって絵具にもたらされた流動性から、蜜蝋による物質の封印という表現の変化が新たに現れる。