EXHIBITIONS

北斎ブックワールド ―知られざる板本の世界―

2022.09.21 - 10.23, 2022.10.25 - 11.27

葛飾北斎 『北斎漫画』八編 すみだ北斎美術館蔵(通期)

魚屋北溪 三都廼友会 すみだ北斎美術館蔵(前期)

葛飾北斎 さむたらかすみ すみだ北斎美術館蔵(前期)

 すみだ北斎美術館は企画展「北斎ブックワールド ―知られざる板本の世界―」を開催する。

「冨嶽三十六景」のような一枚の紙に摺られた木版画がイメージされる浮世絵だが、もともとそうした一枚摺の木版画は、板木に文字や挿絵を彫って摺ったものを本に仕立てた「板本(*)」から、次第に絵のみが独立したともいわれる。

 浮世絵師・葛飾北斎(1760〜1849)は、板本にも絵を描いたことがわかっている。物語の挿絵や、自らの絵を集めた絵手本(えでほん)など、多くの板本を出版。北斎絵手本の代表作として知られる『北斎漫画』には、江戸時代の板本を読む人々が描かれており、人々がくつろぎながら読みふける姿は現代の私たちとも共通している。

「板本」に注目する本展は、北斎とその門人が表現を凝らして描いた板本を約110点展示(前後期で一部展示替えあり)。「板本の中の板本をよむ人々」を序章として、「板本の基礎知識」「板本に関するトピックス」「所蔵者・読者の痕跡」「板本の優品」の4章で構成し、出版文化が花開いた江戸時代に、読者が感じていた「読む」楽しさを紹介する。

*──はんぽん。摺られた本は版本とも表記するが、北斎が活躍した江戸時代後期の本は、一枚の板を彫った板木を摺ってつくる本が主流であったため、本展では板本の表記を使用する。