EXHIBITIONS

青柳菜摘 亡船記

space(十和田市現代美術館サテライト会場)、十和田市現代美術館 カフェ、愛莉の部屋(スナック)、Cocktail bar RED DOOR(バー)、田島生花店、みちのく温泉
2022.09.17 - 12.18

キービジュアル

青柳菜摘 家で待つ君のための暦物語 2021

青柳菜摘 彼女の権利——フランケンシュタインによるトルコ人、あるいは現代のプロメテウス 2019 撮影=和田信太郎

青柳菜摘 孵化日記 2014–2015 2016/2018年 第10回恵比寿映像祭「インヴィジブル」 提供=東京都写真美術館 撮影=大島健一郎

目[mé] space 撮影=小山田邦哉

 十和田市現代美術館のサテライト会場「space」を中心に、十和田市内の6つの拠点で、アーティスト・青柳菜摘の個展「亡船記」が開催される。

 青柳は1990年東京都生まれ。2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。自身を取り巻く環境と向き合いながら、見えない存在をとらえるために、映像や文章を用いて表現してきた。近年では、クラウドソーシングで他者の物語やイメージを収集するなど、現代における個人の在り方と、その観察方法を模索している。

 青柳にとって6年ぶりの個展となる本展では、航海によって発展した中国発祥の「媽祖(まそ)信仰」をきっかけに構想した、架空の航海日誌をテーマに制作した作品を発表する。

 船は、いまでは身近な移動手段ではなくなったが、かつては遠方へ赴く唯一の手段であり、未踏の地への命を懸けた冒険でもあった。航海記からSFに登場する宇宙船まで、数々の文学の主題ともなっている。本展では、人々の船での移動によりその信仰が東アジア広域に拡がった航海の女神・媽祖のほか、大航海時代に長い航海での水分補給と健康維持のために発展したと言われるカクテルなど、船をめぐる古今東西の要素を織り交ぜた映像インスタレーションを、アーティスト・目[mé]が空き家をホワイトキューブへと改装した展示室「space」をはじめ、美術館内カフェや十和田市内の花屋、温泉、バー、スナックで、一冊の絵本を編むように展開する。