困らせる糸鋸

　 4名の新進アーティスト、植田爽介、後藤宙（かなた）、渋谷七奈、細井えみかによる企画展「困らせる糸鋸」がクマ財団ギャラリーで開催される。

　本展は、なんらかの「ルール」をもって、独自の「構造」をつくり上げる作家たちに注目。出展する4名は視覚的に、もしくは思考のなかで構造に対しての試みを繰り返してきた。

　意味やメッセージを排除しながらも、即興やライブなど偶発的な要素を取り入れ、糸を使った立体作品を軸に活動する後藤宙、異なる素材を組み合わせて存在感や気配を漂わせ、独特の緊張や違和感を生み出す「家具と彫刻の間」を中心に制作する細井えみかは、幾何学的な構造を用いた立体作品を多く発表している。

　ペインターの渋谷七奈はすでにある構造を解体し、再構築するなど独自の手法で創作に取り組み、主に版画や複製技法を用いる植田爽介は、デジタルとアナログを接続しながら、構図を俯瞰するような制作を実践している。

　本展では、異なったアプローチをとる4名が改めて構造に向き合い、構造をめぐる実験を試みる。