EXHIBITIONS

TOPコレクション メメント・モリと写真

死は何を照らし出すのか

マリオ・ジャコメッリ 「やがて死がやってきてあなたをねらう」より 1954-1968頃
東京都写真美術館蔵 Courtesy Archivio Mario Giacomelli © Rita e Simone Giacomelli

「TOPコレクション」は、東京都写真美術館の約3万6000点におよぶ収蔵作品のなかから、珠玉の名品を取り上げる展覧会。今回は「メメント・モリ」をテーマに、約150点の作品で構成する。

 ラテン語で「死を想え」を意味する「メメント・モリ」は、人々の日常がいつも死と隣りあわせであることを示す警句だった。この言葉は、ペストが大流行した14世紀から17世紀の中世キリスト教世界において、骸骨と人間が踊る様子を描いた「死の舞踏」と呼ばれるイメージと結びつき、絵画や音楽など芸術作品の題材として広く伝播した。いっぽうで、写真もまた、死を想起させるメディアであることが数多くの写真論のなかで度々言及されてきた。

 本展では、人々がどのように死と向き合いながらも、逞しく生きてきたかを約150点の写真作品から探り、困難を伴う時代を前向きに生き抜くための想像力を刺激する。

 主な出展作家は、ウジェーヌ・アジェ、W.ユージン・スミス、ロバート・フランク、マリオ・ジャコメッリなど。19世紀から現代を代表する写真群を展示し、「メメント・モリ」と「写真」の密接な関係性を再考する。