EXHIBITIONS

大平龍一「SYNDROME」

2022.07.23 - 09.04

展示風景より © Ryuichi Ohira Courtesy of Nanzuka

展示風景より © Ryuichi Ohira Courtesy of Nanzuka

展示風景より © Ryuichi Ohira Courtesy of Nanzuka

 NANZUKA UNDERGROUND(1階)では、彫刻家・大平龍一の新作個展「SYNDROME」を開催している。

 大平は1982年生まれ。2011年に東京藝術大学大学院にて博士号を取得。美術館やギャラリーでの展示のほか、世界遺産の上賀茂神社で開催された「よりしろプロジェクト」において、大型彫刻作品「TONGARIMARU」を展示・奉納(2013)するなど、多くの展覧会やプロジェクトを通し、様々なかたちで作品を展開してきた。

 大平は近年、作品に用いる木という素材本来の持つ特性に立ち返り、創作における無心性、理由のない衝動といった人間の原初的衝動ともよぶべき創造性に基づき、「意味の定まらない」造形物に取り組んでいる。その作品に頻繁に表れる「パイナップル」は、作家自身もなぜこれまでに愛着を持つのか、「パイナップルを作り続けるときに幸福に包まれる(ステイトメントより)」と語るほど、とくに大平を熱狂させて離さない存在だという。

 本展の主役は、合体ロボットのように擬人化した、パイナップのアバターとでも呼ぶべき《Rhizome(地下茎)》だ。この大型の木彫作品は、6本指、天狗、壺、大平の子供が描いた絵をイメージソースにした鳥、象、あるいは男性器を連想させる矢印、改造車といったものが階層的に積み重なって構成される。

 この他に、悪魔的に美しい人物の顔を彫り込んだ巨大なクスの丸太スピーカー、大平が自身の好きなものを無意識に、自家発電的創造で集めて並べたキャビネット作品、そして様々な姿かたちのパイナップルたちが一堂に会す。