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EXHIBITIONS

特別展

河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─

2022.07.30 - 08.21, 2022.08.23 - 09.11

伝宝生如来坐像(弥勒菩薩) 平安時代(9世紀) 大阪・観心寺蔵
画像提供=公益財団法人美術院 撮影=金井杜道 重要文化財 通期展示

板絵種子五社明神図 室町時代 1554(天文23) 大阪・観心寺蔵 通期展示

日月四季山水図屏風(右隻) 室町時代(15~16世紀) 大阪・天野山金剛寺蔵 国宝 通期展示

藍韋威腹巻 室町時代(15~16世紀) 大阪・天野山金剛寺蔵 重要文化財 通期展示

 特別展「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─」が京都国立博物館 平成知新館で開催される。

 京都から高野山に至る街道の合流地点として栄えた歴史を持つ、大阪府南部の河内長野市。そこには檜尾山観心寺と天野山金剛寺という真言密教の古寺があり、この地域における信仰の中心を担ってきた。両寺はいずれも平安・鎌倉期に中央権力とのつながりによって発展したため、優れた仏教美術を伝えている。

 観心寺は、役小角(えんのおづぬ)開創と伝える高野山真言宗遺跡本山の寺。空海の高弟実恵(じちえ、786~847)とその弟子・真紹(しんじょう、797~873)によって整備され、歴朝の庇護を受けた。本尊の秘仏《如意輪観音坐像》はとくに著名で、年1回の開帳を行っている(本展では模刻を展示)。

 いっぽう金剛寺は、行基開創と伝える真言宗御室派大本山の寺で、阿観(あかん、1136~1207)が、鳥羽天皇の皇女・八条院らの帰依を受け再興した。近年、金堂の大改修を果たし、本尊《大日如来坐像》と両脇侍《降三世明王坐像》《不動明王坐像》が寄託先の京都・奈良国立博物館から戻された。

 また2つの寺は、南北朝時代には後村上天皇の行宮(あんぐう、仮の御所)として、武将・楠木正成など南朝勢力の拠点となったことでも知られ、その歴史を伝える古文書や、後村上天皇ゆかりと伝わる仏像・楽器といった品々が残った。そして室町時代には、河内国守護・畠山氏などの庇護により寺勢が回復し、のちも大寺院として観心寺と金剛寺は信仰を集めている。

 本展は、京都国立博物館が2016~19年度に実施した、両寺の文化財調査の成果を公開するもの。観心寺と金剛寺の名品に加え、新たに発見された寺宝を含む130件を一堂に集め、河内長野の地が伝える濃密な歴史文化を紹介する(会期中、一部作品の展示替えあり)。