EXHIBITIONS

シアトル→パリ 田中保とその時代

2022.07.16 - 10.02

田中保 黄色のドレス 1925-30 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 自画像 1915 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 キュビスト A 1915 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 東洋の少女(しとやかなナイチンゲール) 1918頃 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 花 1917-20 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 裸婦 1924 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 サン・ベネゼ橋 1928頃 埼玉県立近代美術館蔵

田中保 猫と花 1920-40 埼玉県立近代美術館蔵

 埼玉県立近代美術館が企画展「シアトル→パリ 田中保とその時代」を開催する。岩槻(さいたま市)からシアトル、そしてパリへ、海を渡った幻の画家・田中保の、同館では25年ぶりの回顧展。

 岩槻で生まれた田中保(たなか・やすし、1886〜1941)は、18歳で移民としてシアトルに渡り、働きながら絵を学んだ。画家としての地位を確立し、シアトルで出会った美術批評家のルイーズ・ゲブハード・カンと、国籍の違いを乗り越えて1917年に結婚。20年にパリに移住した後は、サロン・ドートンヌなどの展覧会に出品を重ねて評価を高め、肖像画や裸婦像といった分野で自らの芸術を開花させた。

 パリで人気画家となってからも、田中の胸中には祖国でこそ認められたいという思いがあった。しかし、日本の美術教育を受けずアメリカで身を立ててきた田中の願いは叶わず、画家の没後、1970年代に作品がまとめて紹介されたことで再評価の機を得たものの、その生涯にはなおも多くの謎が残されている。

 本展は、国際化が進み、人の移動がますます活発になった現在の視点から、海を渡って活動した田中の実像を再検証する試み。埼玉県立近代美術館のコレクションを中心に借用作品を交え、最新の研究成果によって田中の画業を振り返る。あわせて田中が生活した20世紀初頭のシアトルの状況や、パリで同時期に制作を行った美術家を紹介する(会期中、一部展示替えあり)。