EXHIBITIONS

キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル

© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2022
B0593

「キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル」がパナソニック汐留美術館で開催される。エコール・ド・パリを代表する画家のひとり、キース・ヴァン・ドンゲンの日本では44年ぶりとなる展覧会。

 キース・ヴァン・ドンゲン(1877〜1968)はオランダで生まれ、パリで活躍した画家。ロッテルダムの美術アカデミーで学び、20歳の頃に初めてパリを訪れた。その2年後にモンマルトルに移住。オランダ時代から力強い筆致の作品を描いていたヴァン・ドンゲンは、すぐに新印象派に関心を抱き、やがて濃密で表情豊かな強烈ともいえる色彩でフォーヴィスムの画家たちの一員となった。華麗な色調でありながら、内的な表情を感じさせる色を用い、なかでも女性を描く場合の身体の優美さや官能性を訴える画面は、画家の代名詞になっていった。
 
 1920年代に入ると社交界との交流から、肖像画家として多数の注文を受けるようになったヴァン・ドンゲン。華奢で細長くデフォルメされたしなやかな人物像は、きわめて洗練された色彩で表現され、当時の上流階級の人々から絶大な人気を博した。

 本展はヴァン・ドンゲンがフォーヴィスムの画家へと成長していく過程を紹介するもの。その後の第一次世界大戦までの時期に取り組んだ色彩と形態の研究に加え、人物表現というテーマ、そして大戦終結後の華やかな時代(レザネフォル)における画家の歩みに焦点を当てる。

 会場は「新印象派からフォーヴィスムへ」「フォーヴィスムの余波」「レザネフォル」の3章で構成。巧みな人物デッサンと官能的表現という全時代を通じて見られる画家生来の資質と、各時代に特徴的な色彩、かたち、そしてそれらが調和する姿を、国内外の優れたコレクションを通じて展覧する。