EXHIBITIONS

トーキョーアーツアンドスペースレジデンス 2022 成果発表展

水路から柔い空へ

上村洋一 Pelagos[Helsinki Cathedral] 2021

黒田大スケ マッカーサー銅像ミーティング(オンライン) 2021 撮影=飯川雄大

前谷開 Scape 2022

ルーベン・デルス droning supply 2021 © Rubén D'Hers

 トーキョーアーツアンドスペースレジデンス 2022の成果発表展「水路から柔い空へ」が開催される。参加アーティストは、上村洋一、黒田大スケ、前谷開、ルーベン・デルスの4人。

 トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、2006年よりレジデンス・プログラム「クリエーター・イン・レジデンス」を開始し、東京や海外の派遣先を舞台に、ヴィジュアル・アート、デザイン、キュレーションなど様々な分野で活動するクリエーターたちへ滞在制作の機会を提供してきた。

 2021年は新型コロナウイルスの感染防止などを鑑み、縮小した規模ではあるものの、TOKASのレジデンス・プログラムも活動を再開。TOKASレジデンシーでは2名の日本人アーティストが滞在制作を行い、昨年に続きベルリンとのオンライン・レジデンスを実施するとともに、約1年ぶりにアーティストの海外派遣も実現した。

 本展では2021年度にレジデンス・プログラムに参加した4名のアーティスト、上村洋一(二国間交流事業プログラム[ヘルシンキ])、黒田大スケ(国内クリエーター制作交流プログラム)、前谷開(リサーチ・レジデンス・プログラム)、ルーベン・デルス(二国間交流事業プログラム[ベルリン][オンライン・レジデンス])の4人による成果を紹介する。

 上村洋一は1982年千葉県生まれ。視覚や聴覚から風景を知覚する方法を探り、フィールド・レコーディングをはじめとする様々なメディアで表現している。本展では、フィンランドでの滞在中、光や色、音などから得た抽象的で感覚的な体験を、サウンドやドローイングなどを用いて、サウンドインスタレーションの形式で発表する。

 黒田大スケは1982年京都府生まれ。歴史、環境、身体の関係性から、不可視の「幽霊」のような存在にかたちを与えることを主題に制作を行う。東京の公共彫刻と戦後実際にあったマッカーサー像建造計画についてリサーチする傍ら、コロナ禍においては、ほぼ自身ひとりのみでレジデンスに滞在していたという環境を重ね合わせることで、あり得たかもしれない架空の「誰か」との対話をインスタレーションで表する。

 前谷開は1988年愛媛県生まれ。自身の行為を変換し、確認するための手法として主に写真を用いている。リサーチ・レジデンス・プログラムでは、東京を流れる川や水路に、都市の空白地点としての側面があることに着目しリサーチを進めた。本展の出品作は、映像作品やセルフポートレイトなどの写真作品から、風景と身体の関係を探求している。

 ルーベン・デルスは1980年ベネズエラ・カラカス生まれ。サウンド・インスタレーションと音楽が交差する活動を行い、意図的/非意図的に関わらず、頭に浮かぶ音のイメージや音楽的幻聴について探求してきた。本展ではオンライン・レジデンス期間中にベルリンで制作したサウンドスカルプチャーやペインティングをさらに発展させ、東京滞在中(2022年6月滞在予定)に見つけたオブジェクトを追加しながら、新たな作品を制作する。

 本展の会期中には、参加作家によるアーティスト・トークも予定している(詳細はTOKASのウェブサイトへ)。