EXHIBITIONS

小枝繁昭「月をうつす花」

2022.04.23 - 06.11

小枝繁昭 布袋葵

 鎌倉画廊で、小枝繁昭による新作個展「月をうつす花」が開催。花に見つめられているような、不思議な感覚に包まれる作品群が並ぶ。

 小枝は1953年京都都生まれ。74年京都精華短期大学絵画専攻科修了。絵画や版画作品などとともに、80年代よりペインティングと写真を融合させた作品を制作し続けている。

 本展の中心となる「花-眼差しのあいだ」と題されたプロジェクトは、2003年より継続して制作されたもの。作家が伊藤若冲の《花丸図》(金刀比羅宮奥書院上段の間に施した障壁画)に触発されことから始まり、108の作品が完成した。

 一つひとつに対象となった花の名前がついた作品群は、透明なガラス板の向う側に実物の花を生け、そのガラス板越しに花と見つめ合うことで描かれた。繊細なライティングと独自の撮影技法を用いて生み出された花の作品は、不思議な奥行きと触感をともなって静かに私たちへ語りかけてくるようだ。

 また本展は、最新シリーズ「心の時」9点と、大小様々な作品も交えて展示。およそ20年の時を重ねた壮大なプロジェクトは、時間の経過とともに生じる作品の変化も見どころのひとつとなる。