EXHIBITIONS

篠田桃紅 夢の浮橋

篠田桃紅 朝ぼらけ 1960頃 撮影=尾見重治、大塚敏幸

篠田桃紅 夜明け 1967 撮影=尾見重治、大塚敏幸

篠田桃紅 夢の浮橋 1990

篠田桃紅 Harvest 2010

篠田桃紅 山上焚火 2004

 菊池寛実記念 智美術館で、篠田桃紅の軌跡を紹介する展覧会「篠田桃紅 夢の浮橋」が開催される。

 篠田桃紅(1913〜2021)は、幼少より書と水墨の世界に親しみ、「書く」ことを制作の根幹としながら、墨による表現の可能性を開拓し続けた芸術家。とくに、社会が大きく変化し書においても個性と創意の表出が模索された1950年代に渡米し、同地で勃興した抽象表現主義絵画に刺激を受けると、線描や墨色の重なり、かすれなど、水墨の特性を活かし大画面を構成する抽象画を手がけ、国際的評価を得た。

 70年以上に及ぶ活動のなかで桃紅の仕事は、書や抽象画、版画などの平面作品、建築壁面などの大型制作から、創作の日々や人生観を繊細な筆致で綴った随筆まで、多岐にわたった。

 菊池寛実記念 智美術館は、創設者の菊池智(1923〜2016)と作家との交流がきっかけとなり、篠田作品を設置する美術館としてこれまでも個展を開催してきた。

 本展は、107歳で逝去した作家を追悼するとともに、改めてその創作を紹介するもの。展覧会の監修に、桃紅の作品を国内外で紹介してきた画廊ザ・トールマンコレクションを迎え、50年代から晩年までの肉筆、版画など約50余点の作品で構成する(会期中、展示替えあり)。