EXHIBITIONS

串野真也「忘却の旅人 - 人間讃花」

2022.04.30 - 06.25

© oka haruka

© oka haruka

© oka haruka

 京都の老舗・清昌堂やましたの新たなアートスペース「清昌堂やました THE ROOM」で、串野真也の個展「忘却の旅人 - 人間讃花」が開催されている。

 串野は広島県尾道市因島出身。京都芸術デザイン専門学校を卒業後、イタリアに留学。イスティトゥート・マランゴーニミラノ校ファッションデザインマスターコースにてディプロマを取得。帰国後、自然からインスピレーションを受け、ファイナルデザインをテーマにした「靴」の作品を最先端技術や伝統技術などを駆使して制作し、また近年はバイオテクノロジーなど科学技術を取り入れたアート作品などにも取り組み、世界に向けて発表してきた。現在は京都を拠点に活動している。

 本展では、人間そのものの歩みや歴史、死生観などのテーマによって強く影響を受けた作品を発表する。

 花を人の人生、靴を花器に例える串野は次のように話す。「靴 − それは一歩一歩を刻む、人の歩みを象徴し、少しずつ前進していく私たちの人生を表す彫刻でもあります。生きることは記憶の連続であると同時に、忘却の連続でもあり、忘れることによって、膨大な記憶の重力から解き放たれ、私たちは一歩前へと足を踏み出すことができるのではないでしょうか。しかし、記憶の忘却は永遠に失うことではなく、歩んできた時間の中に連なる壁の隙間にそっと潜み、何かがきっかけでその記憶は必要な時にだけ話しかけてくる」。

 会期中の6月4日には、串野と十六代樂吉左衞門(陶芸家)のトークイベント「Dialogue – ダイアローグ」も開催。異なる伝統芸術を担いつつも、同志として尊敬の念を抱きながら、独自の発展を遂げる同世代の2人の作家が対話する。