EXHIBITIONS

田中秀介 個展「辿る粉々の粉」

2022.05.21 - 06.19

田中秀介 いつしか楽屋 Suddenly backstage 2022

 LEESAYAは、田中秀介(たなか・しゅうすけ)の個展「辿る粉々の粉」を開催する。

 田中は1986年和歌山県生まれ。2009年に大阪芸術大学美術学科を卒業し、現在は大阪を拠点に意欲的に制作活動を続けている。主な個展に「あまたの先日ひしめいて今日」(和歌山県立近代美術館、2020)、「かなたの先日ふみこんで今日」(ぎゃらりーなかがわ、和歌山、2020)などがある。

 田中は自身が日常で目にした印象深い光景を切り取り絵にしている。その際に感じた驚きや恐怖など、日常の延長線上にある非日常的なワンシーンをその時に得た体感を軸に描くため、時に構図は不安定で、作品にはデフォルメされたかたちや一風変わったモチーフの組み合わせが度々登場する。それは田中が見て感じた瞬間を忠実に再現した結果であり、特筆すべきは、作品にまつわるエピソードやその時の感情がタイトルに反映されていることだ。作品とともにタイトルを知ることで、味わい深い趣を帯びる。

「その光景が欲しい」と話す田中にとって描くことは、何かテーマを決めて心象を表す手段というよりも、日常に立ち現れる光景を写真に撮り、度々足を運び描くことで、目の前に転がる違和感をそのまま写し出し、理解できない物事や世界を知ろうとするための手がかりのようなものだという。

 本展では新作を含め大小様々なサイズの作品を展示。田中の描く作品を通し、鑑賞者は現代の空気感を自然と自覚することになるだろう。