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アントニ・ガウディ

Antoni Gaudí

 アントニ・ガウディは1852年、スペイン地中海沿岸のタラゴナ県レウス市に生まれる。68年にバルセロナに移住。21歳でバルセロナ建築学校(現・カタルーニャ工科大学建築学部)に入学する。在学中より、サグラダ・ファミリアの初代建築家ビリャール・ロサーノ、シウダデーラ公園やボルン広場の設計で知られるホセ・フォントセレーら著名な建築家のもとで働く。78年に建築学校を卒業。バルセロナ市からレアール広場の街灯の制作依頼を受け、カタルーニャで新しく生まれたモデルニスモ様式を用いる。80年より、ホアン・マルトレールに師事。マルトレールの紹介で、パトロンにして最大の理解者となる実業家のエウセビ・グエルと出会う。グエルの依頼で建てられた《グエル邸》(1886-88)は、12〜16世紀に成立した、キリスト美術とイスラム美術を融合した「ムデハル様式」と、フランスの建築家ヴィオレ=ル=デュクのゴシック理論に影響を受けた代表作のひとつ。外観は簡素に、内装は豪華なインテリア、そして屋根はチェスの駒のような奇抜な尖塔が特徴的な折衷建築である。一見奔放な佇まいは、糸とおもりを使った逆さつるしなどの実験を経て実現している。

 83年、マルトレールの推薦で《サグラダ・ファミリア聖堂》(1883-)の2代目建築家に就任。1926年に事故で亡くなるまでの約40年間を、《サグラダ・ファミリア聖堂》の構想に費やす。ガウディ生前は《誕生の正面》のみが完成。没後も寄付金のみで建設が進められ、ガウディの設計図をもとに、2026年に竣工を予定している。スペイン市民に親しまれる《グエル公園》(1900-14)、曲線のある支柱、多彩色の石材やガラスに覆われた《カサ・バトリョ》(1904-06)など、ガウディが生涯手がけた建築およそ20作品はほぼすべてバルセロナ内にあり、うち6点が世界遺産に指定されている。