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井上雅之

Masayuki Inoue

 井上雅之は1957年神戸市生まれ。85年多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。80年代から陶を素材に大型の立体作品を制作し、現代陶芸の作家として注目を集める。国内外の展覧会で発表し、多くの美術館に作品がコレクションされている。2017年には「第24回日本陶芸展」で大賞受賞するなど、現在も精力的に発表を続けている。

土を捏ね、焼しめて生成される陶は古来から用の美の器として使われてきたが、身近な素材でいくつものパーツを組み上げ、大規模なかたちを作り上げるという新たな手法で日本を代表する作家の一人として活躍。陶という自然の力と、自身の身体を通して生成される強固な素材で様々なかたちを立ち上げようとしている。初期の作品ではロクロで成形したパーツを組み合わせていたが、近年は板状の粘土をブロックのように組み合わせたパーツを複雑な形に構成した生命感漂う作品を制作。

主な展覧会に、「井上雅之 描くように造る」(茨城県陶芸美術館、2022)、「井上雅之展―多摩美術大学退職記念―」(ギャルリー東京ユマニテ、2022)、「革新の工芸 ―"伝統と前衛"、そして現代―」(東京国立近代美術館 工芸館、2016)、「井上雅之 初形より―花型(山口県立萩美術館・浦上記念館、2015)、「アルス・ノーヴァ―現代美術と工芸のはざまに」(東京都現代美術館、2005)、「Japanese Studio Crafts: Tradition and the Avant-Garde」(ヴィクトリア&アルバート博物館、ロンドン、1995)など。