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ジェニファー・ロックリン

Jennifer Rochlin

 ジェニファー・ロックリンは1968年アメリカ・メリーランド州ボルチモア生まれ。現在、ロサンゼルスを拠点に活動。99年にシカゴ美術館附属美術大学で絵画の修士を取得したが、後に地元の学校で陶芸授業のプログラム開発に携わり、それをきっかけにキャンバスから粘土に描くことを実験的に始めた。ロックリンは、三次元にかたちづくられた器が自らの描く物語にどのように影響するのか徐々に興味をもつようになり、やがてそれらは自身の描く物語の支持体となった。

 器のかたちはコイル状にぐるぐるととぐろを巻くように徐々に積み上げられ、そこには確実にロックリンの手仕事の跡が残されている。ロックリンのつくる器は独自のかたちをしており、時にモチーフと呼応して三次元の空間に物語を紡いでいく。モチーフとしてよく取り上げられるのは、カリフォルニアのみずみずしい生命力をもつ植物や動物たち。ほかにもポップカルチャー、装飾文様、そして個人的な記憶、最近では、サンドロ・ボッティチェッリの《ヴィーナスの誕生》のように美術史からも引用し、世界中の人が知っている素晴らしい価値に新しい文脈をもたらす。平面作品である絵画と立体作品としての陶器、両方の良き面を引き出したロックリンの作品は、その豊かな表現が大きな評価を受けている。

 主な個展に、「Jennifer Rochlin」(The Pit、カリフォルニア州グレンデール、2020)、「Clay is Just Thick Paint」(Greenwich House Pottery、ニューヨーク、2020)「Superbloom」(Geary、ニューヨーク、2019)、「KISS KISS KISS」(Galerie Lefebvre & Fils、パリ、2018)など。グループ展に、「Mass Ornament: Pleasure, Play, and What Lies Beneath」(curated by Alison M. Gingeras, South Etna Montauk、ニューヨーク州モントーク、2020)、「So Far」(LA LOMA Projects、ロサンゼルス、2020)、「L.A. On Fire」(curated by Michael Slenske, Wilding Cran Gallery、ロサンゼルス、2019)、「Calculating Infinity」(curated by Adam D. Miller, Guerrero Gallery、サンフランシスコ、2019)、「The Party」(curated by Ali Subotnick, Anton Kern Gallery、ニューヨーク、2018)など。