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快慶
Kaikei
快慶は鎌倉時代初頭に活動した仏師。生没年不明。康慶の弟子とされ、政権が貴族から武家へと移行し、芸術の分野においても新しい動きがあった時代に活動した。調和のとれた仏の姿をかたどった平安時代に対し、奈良の仏師が台頭した鎌倉初期以降は、慶一派が率いて身体の表現に人間味のある、現実的な仏像の様式が確立されていった。慶一派の同志であり、快慶に並んで同時代の巨匠と評される運慶は、肉体の質感や躍動感のある造仏を得意としたいっぽう、快慶は、東大寺再建の貢献者である重源上人に帰依し、阿弥陀信仰と結びついた独自の阿弥陀如来像を追い求めた。中国・宋代の造形に詳しい重源のもとで手がけた快慶の作品は、とくに仏の衣の表現や金泥塗りの技法などに宋の様式を感じさせる。それ以前に制作された、ボストン美術館収蔵の《弥勒菩薩立像》は肉体表現に師である康慶の影響がまだ見られる最初期の作品。阿弥陀信仰の重要な拠点のひとつである浄土寺(兵庫)の本尊《阿弥陀三尊立像》は、建築とそろって残っている貴重な作例だ。快慶にとって法名の安阿弥陀仏(あんなみだぶつ)を作品に残すことは、ひとりの信仰者としての意もあり、阿弥陀信仰との深い結びつきを示している。