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上村さくや

Uemura Sakuya

 上村さくやは2000年千葉県生まれ。武蔵野美術大学造形学部油絵学科油絵専攻在籍中。記録と記憶のズレをテーマに作品を制作をしている。

 アルバムの写真を見返していると、知らない自分や記憶にない光景が存在していた。さらに最近のカメラロールを遡ってみても、覚えてはいるが思い出とのギャップを感じることが多くあった。そんな経験から、自分は思い込みや主観で物事をとらえているのではないかと考えた。記録は時間と空間をほぼ正確に表す。いっぽうで、記憶は過去と現在が流動的に作用し合い、曖昧で自分本位なものである。記録のひとつである写真を、動きを持たせた水のフィルターを通してカメラで撮影し、そのデータを写真に起こす。この一連の正確と曖昧が織りなす層とその間に生じるズレをキャンバス上に再構築させていく。自身のフィルターを通した画面は、曖昧な人の内面を映し出すだけでなく、いま見ているものや記録ですら本当に正確なのか、とも問いかけている。