1886年から1968年まで、82年の生涯を生きた藤田嗣治(レオナ—ル・フジタ)は、その人生の大半をフランスで過ごし、晩年にはフランス国籍を取得して欧州を代表する画家となった。
近年、日本では2006年に開催された、「生誕120年 藤田嗣治展」(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、広島県立美術館)や、「生誕130年記念 藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画」(名古屋市美術館、兵庫県立美術館、府中市美術館)、「レオナール・フジタとモデルたち」(DIC川村記念美術館ほか)など、その画業を回顧する機会は少なくない。また、15年に東京国立近代美術館で行われた「MOMATコレクション 特集:藤田嗣治、全所蔵作品展示。」では、藤田が手がけた戦争画14点が初めて一堂に展示され、話題を集めたことも記憶に新しい。
その藤田が2018年に没後50年を迎えるのを機に、東京都美術館と京都国立近代美術館で過去最大級の回顧展「没後50年 藤田嗣治展」が開催される。
本展は、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマごとに、新たな視点から藤田をとらえようとする試み。1920年代のパリのサロンなど主要な展覧会に出品された、国内外の公的コレクションを中心に百数十点を厳選。
没後直後の回顧展以降、長らく出品されることのなかった作品や、近年所在が新たに確認された作品なども展示されるという。
また、藤田の代名詞でもある、1920年代の「乳白色の裸婦」は10点以上が集まるほか、戦後、日本を去り再びフランスへ向かう途中の1949年にニューヨークで描かれた作品もまとまって展覧。
東京国立近代美術館や京都国立近代美術館、大原美術館などの国内美術館をはじめ、パリのポンピドゥー・センターやプティ・パレ美術館、アメリカのシカゴ美術館など、世界各国の美術館から第一級の藤田作品が集う。