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アートの仕事図鑑:額装で展覧会を支えるフレーマー・菅原美砂(レモン画翠)

展覧会の運営、アートマーケットの運用、コレクターのサポートなど、アートに携わる様々な仕事を紹介する「アートの仕事図鑑」。東京・御茶ノ水の画材店「レモン画翠」で、フレーマーとして展覧会の作品額装を担当する菅原美砂に、仕事の内容ややりがいをインタビューした。

聞き手・文=安原真広(ウェブ版「美術手帖」編集部)

菅原美砂、「レモン画翠」にて

フレーマーという仕事

──まず、フレーマーの大まかな仕事内容を教えていただけますか?

 広く額装を担当する仕事で、私は展覧会の展示作品の額装を担当しています。額はフレーム(額枠)、グレージング(表面のアクリル等)、マット(作品と額縁の間の余白を埋める窓用の紙)、裏板、金具で構成されます。フレーマーは展示企画者の要望を聞きながら、これらのパーツを組み合わせ、場合によってはパーツを職人にオーダーしながら、作品に合う額をつくるのが仕事です。

額のマットのサンプル

──展覧会がご担当なので、仕事のやり取りをする相手は美術館や博物館の学芸員などになるのでしょうか?

 美術館や博物館の学芸員やキュレーターの場合もあれば、展示担当のデザイナーや企画を担当する新聞社や広告代理店の場合もあり、展覧会によって様々です。

──展覧会の展示作品を額装するにあたっての大まかな流れを教えてください。

 展覧会担当者や企画担当者から額装の依頼があり、その時点で額装が必要な点数や額のイメージがすでに決まっていることがほとんどです。また、予算や展示方法なども打ち合わせのなかで詰めていきます。

 担当者からヒアリングした展示構想に合わせて、材質やかたち、仕上げの方法などを数種類用意し、これも打ち合わせを通して決めていきます。

 作品が美術館の保管庫などに集まってきたら、現地に足を運んで採寸作業を実施。必要な額の大きさやマットの開口幅を調べていきます。また、作品の痛み具合や材質など状態もこのときに確認し、最適な額装方法を考えます。巡回展の場合はその後の巡回のために、運搬のしやすさを考慮して額を決めることもあるんですよ。

 また、個人のコレクターさんが所有しているものを借りて展示する場合などは、所有者の額を展示用の額に変えることもあります。また、借りてきた作品の額に合わせて、ほかの作品の額を選ぶというパターンもありますね。

 このようにして採寸したサイズに合わせて額やマットを制作し、ふたたび現地に赴いて額装作業を行います。

「レモン画翠」のサンプルフレーム

──額装が終わって納品したあと、額装展示設営や展示期間中に作業はあるのでしょうか?

 基本的には展示の設営の際にもフレーマーは立ち会います。作品移動の際にホコリが入ったり、アクリルが傷ついたりといったことも現場では起こりうるので、部品を持ち込んでおきます。また、静電気によって作品が浮いてしまうなどの細かい手直しにも対応したりします。

 最近はマンガの原画を展示する展覧会も多く、その場で作家さんが写植の修正をすることなどもあるので、その都度額装の対応を行うこともありますね。同様に展示期間中も、閉館後に修正作業をおこなったりします。

──展覧会終了後の解体時にはどのような作業を行うのですか?

 現地にうかがって額から作品を外し、作品を返却できるようにします。また、個人から借りた作品などでもともと額がついていた場合は、額を戻したりもしますね。額を外しながら、梱包や輸送の専門業者に引き継いでいきます。

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