明治時代後期に、近代企業としての住友グループの礎を築いた第15代当主・住友吉左衞門友純。実業のかたわら芸術や文化事業にも高い関心を示し、子弟の情操教育や事業所における社員の慰安のために、西洋絵画を積極的に収集した。
住友吉左衞門友純は、1897年の欧米視察の際にパリでクロード・モネの油彩画を2点購入し、これが住友絵画コレクションの発端となった。この2点は最初期に日本へともたらされたモネの作品として、記念碑的な位置を占めている。
吉左衞門友純は、日本に西洋美術館がなかった時代に、自宅の洋画を公開して多くの日本人画家に影響を与えた。また、関西美術院を開設する浅井忠や、その後継者の鹿子木孟郎、東京美術学校西洋画科教授だった黒田清輝を積極的に支援し、彼らを起点に日本の洋画を切り拓いた画家たちの作品が住友家に収蔵されている。
「モネからはじまる住友洋画物語」は、モネから始まった住友の洋画コレクションの軌跡を、明治から昭和にいたる時代や社会の動きを背景に、住友親子3人の収集のエピソードを交えて紹介する展覧会だ。