東京藝術大学は、1887年10月に創立された東京美術学校・東京音楽学校を前身に、美術学部と音楽学部からなる唯一の国立芸術大学。上野のほか、茨城県取手市や神奈川県横浜市、東京都足立区にキャンパスを持ち、これまで数多くのアーティストを輩出してきてことで知られている。そんな東京藝術大学が今年、創立130年の記念事業を実施する。
「チャレンジする東京藝大〜感動を呼ぶ芸術〜」をテーマとした130周年事業では、同大の「芸術の拠点化」強化を目指すとともに、国内外へ存在感をアピールする「ブランド力の向上」を大きな目的として掲げる。
具体的には、10年後のビジョンを提示するためのアクションプラン「NEXT GEIDAI TEN」を展開するとともに、「5大陸 アーツ・サミット」(2018年1月8日〜10日)を開催。このサミットでは、現在同大が交流を行っていないベルリン芸術大学、モスクワ音楽院、インド国立デザイン大学、カイロ大学、南カリフォルニア大学、ハーバード大学、チリ大学、メルボルン大学の学長などを招聘。芸術大学のあり方や文化の役割を議論するとともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた戦略的グローバル・ネットワークの基盤整備を目的に、全体会と分科会を開催する。
このほか、「GEIDAI 130 ARTS」プロジェクトでは、1年をかけて展覧会やコンサートを多数開催。7月11日からの「藝「大」コレクション パンドラの箱が開いた!」展(〜9月10日)を皮切りに、シンポジウム「戦没学生のメッセージ〜戦時下の東京音楽学校・東京美術学校」(7月30日)、「素心伝心 クローン文化財 失われた刻の再生」展(9月23日〜10月26日)など10のスペシャルプログラムを展開するほか、各学部・美術館などが企画する展覧会・演奏会を「公式プログラム」、教員や学生らが主体的に企画・実施する個展・リサイタルなどを「応援プログラム」として盛り込み、「オール東京藝大」でアートの力を発信していく。
今回の130周年事業に関し、澤和樹学長は「2020年に向けた新たな芸術文化の創造の出発点」としても位置づける考えを示しており、これと同時に「より多くの人々が芸術に触れる機会を創出すること」が事業の根幹であると語る。
なお、同事業では藝大ゆかりの著名人が「アンバサダー」として任命されており、狂言師・野村萬斎、俳優・伊勢谷友介、ヴァイオリニスト・諏訪内晶子、日本画家・松井冬子の就任が決定。様々な方向から記念事業に対して支援を行っていくという。