2017年に開業90年を迎えた東京メトロの銀座線。東京メトロでは、「伝統×先端の融合」というコンセプトのもと、銀座線全駅のリニューアルを行っているが、そのうち銀座、日本橋、京橋、青山一丁目、外苑前のリニューアルが完了し、16日には新たな銀座駅が披露された。
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銀座駅は銀座線のほか、丸の内線と日比谷線が乗り入れる駅。昨年度の1日平均乗降人員は東京メトロで4番目の25万7440人という賑わいを見せる。現在の駅構造は1964年に日比谷線が開業する際にかたちづくられた。銀座駅の大規模改装はそれ以来となる。
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新たな銀座駅のデザインコンセプトは「憧れの街」「人と街をつなぐ光のゲートアベニュー」。そのなかで大きなポイントとなるのが、B6出口付近に設置された吉岡徳仁によるパブリック・アートだ。
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《光の結晶》と題された今回の作品は、吉岡にとって初となる駅のパブリックアート。その名の通り、光そのものを作品にしたような本作は、オリジナルデザインのクリスタルガラスを636個も使用した大作だ。横幅は約3.5メートル、重さは2トンにもおよぶ。その素材選びには、これまでの駅のパブリック・アートにあるような陶や鉄ではなく「違うやり方で(パブリック・アートを)表現できないか」という吉岡の考えがあった。
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「光で作品をつくりたい」「希望を与えるようなものをつくりたい」というコンセプトのもとデザインされた本作。636個のクリスタルガラスの輝きによってひとつの作品を構成することで、吉岡は「地球に生きるものとして世界がひとつになる」という平和への願いを込めた。
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吉岡は今回の作品完成について、「2年半かけてつくってきたので、すごく嬉しいですね」と喜びを語った。「みなさんの毎日に輝き与えられたら。銀座は日本を代表する街。コロナが落ち着いた頃に、世界から新しい銀座駅に来てくれることを楽しみにしています」。
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