丸紅株式会社によって2021年11月に東京都千代田区にオープンした丸紅ギャラリーが、9月12日から香川出身の芸術家・濱野年宏の作品を展覧する「濱野年宏 伝統と現代のハーモニー 聖徳太子絵伝四季図大屛風(中宮寺蔵)と新作」を開催する。
濱野は1937年高松市生まれ。聖徳太子ゆかりの寺、奈良中宮寺新御殿の鳩和殿建立にあたって制作した《聖徳太子絵伝四季図大屛風》(2005)でも知られており、これまではミラノ・ブレラ美術館(1998)、パリ・ユネスコ本部(2007)、高松市民ギャラリー(2011)などで回顧展を開催してきた。
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《聖徳太子絵伝四季図大屛風》は、濱野が15年の歳月をかけ、70数場面におよぶ聖徳太子の生涯を総延長36メートルの大屛風に繊細かつ華麗に描いた大作。2021年の聖徳太子1400年御遠忌に際してフランスのブルターニュ大公城ナント歴史博物館で、続いて22年にパリ日本文化会館で展示され、世界的に高く評価されている。
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本展では、その大屛風の春と夏の部のほか、中宮寺本尊の顔を写実的に描き、いっぽうの身体を梵字キリクによって抽象的に再構成した《如意輪観世音菩薩キリク御像》(2010)や、茶室の窓、待庵などを、禅の心である余分なものをそぎ落としてできる究極のかたちと色によって描いた茶室シリーズ、創建当時の姿を残す桂離宮を平面と線で描いた桂離宮シリーズなど、2020年から22年にかけて制作された新作も見ることができる。
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展示会場となる丸紅ギャラリーは、「古今東西の美が共鳴する空間」をコンセプトとして、丸紅コレクションを中心に様々なテーマで展覧会を行っている。オープン以来、丸紅コレクションを4回にわたり紹介してきており、今回は同コレクションを離れたかたちで開催される展覧会となる。
丸紅は、1858年の創業から現在まで蒐集・保全してきた江戸期を中心とする古い時代の染織品(きもの、帯、袱紗など)や染織図案、1960~70年代に入手した西欧絵画、そして、染織図案の接点などから画家本人や画商を通じて蒐集した近代日本絵画を丸紅コレクションとして所蔵している。