現代芸術振興財団(会長:前澤友作)が主催するアートアワード「CAFAA賞」は、現代芸術にかかわるアーティストを対象に、次世代の柱となる才能あるアーティストを選抜する賞だ。
今年の「CAFAA賞2020」の公募には300件を超える応募があり、5月末に行われた書類選考により、同アワードのファイナリストとしてAKI INOMATA、金沢寿美、 田口行弘の3名が選ばれた。審査員を務めたのは片岡真実(森美術館館長)、ウンジー・ジュー (サンフランシスコ近代美術館コンテンポラリー・アート・キュレーター)、アーロン・セザー(デルフィナ財団ファウンディング・ディレクター)。
AKI INOMATAは1983年生まれ。制作を通じて生きものとの関わりから生まれるもの、あるいはその関係性を提示し続けてきた。これまでの個展に「シグニフィカント・アザネス 生きものと私が出会うとき」(十和田市現代美術館、2019)や「相似の詩学ー異種協働のプロセスとゆらぎ」(北九州市立美術館、福岡、2019)などがある。
金沢寿美は1979年生まれの韓国籍の作家。日本と韓国の企画展やレジンデンスプログラムで作品を多数発表しており、2013、2014年には北朝鮮にもっとも近い韓国の島、ペンニョン島に滞在。実際の鉄条網を使ったプロジェクト作品を発表した。近年のおもな個展に「消して、みる。」(遊工房アートスペース、2018)がある。
田口行弘は1980年生まれで、現在はドイツ・ベルリン在住。創作をする土地に赴き、その場特有の素材や廃棄物を見つけ、それを用いて街中や展示スペースでその場に即したインスタレーションを制作。制作の過程やイベント、パフォーマンスなどをストップ・モーション映像や短編映像に落とし込み、作品化している。
ファイナリストにはそれぞれ制作費50万円が支給され、都内で開催される個展に向けて作品を制作。個展会場で行われる最終選考にてグランプリ1名が選ばれる。
グランプリ受賞者には賞金300万円に加え、ターナー賞受賞者を多数輩出した実績を持つ英・デルフィナ財団との提携により、現代アートシーンの中心であるロンドンで3ヶ月にわたる滞在制作の機会が与えられる。
なお、ファイナリスト3名による個展および最終選考・表彰式は今年10月の開催を予定していたが、新型コロナウイルス感染症が流行している状況を受け、参加者および関係者の健康と安全を最優先とし2021年春に延期となった。詳細な日程は決まり次第発表される。