2018.4.9

春の京都で、
国内外の新たな写真表現に出会う。
KYOTOGRAPHIEの同時開催
イベント「KG+2018」

これから活躍が期待される写真家やキュレーターの発掘・支援を目的に、2013年よりスタートしたアートプロジェクト「KG+」。「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018」の連携したこのイベントでは、京都市内各所で、5つのプログラムを通して70以上の展示を展開する。会期は4月13日〜5月13日。

カレン・ノール Once only, Only once © Karen Knorr
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「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2018」と連携して開催される「KG+2018 KYOTOGRAPHIE サテライトイベント」。新たな才能を発掘し京都から世界に向けて発信することを目指すこのイベントでは、今年は「Award」「Exhibition」「Special Exhibition」「Gallery Program」「Associated Program」の5つのプログラムを通して73の展示を行う。

ニコラ・オヴレー Lasa II ©️ Nicolas Auvray

 見どころのひとつは、公募によって選ばれた国際色豊かな21名が個展形式で展示を行う「Award」。このプログラムには、現実の非日常性をとらえ、強い物語性を写真にもたらすニコラ・オヴレー、自然と人間が混在する状況に惹かれ、その関係性が視覚的、感覚的に表出する風景を写真で記録する顧剣亨(コ・ケンリョウ)らが参加。2012年より日本の文化遺産や侘び・寂びを題材としたシリーズを手がけるカレン・ノールは、新作を通して写真と日本の伝統工芸の融合を提示する。

ガブリエル・ド・ラ・シャペル TOKYO SOLO ©︎ Gabriel de la Chapelle

 国内からは、クラシックカーや爆撃機など役割を終え、環境の循環の中へと身を委ねていく機械と対峙し、SF小説のような光景をとらえる杉山有希子、光を視覚可能な存在とする写真表現を試みる堤麻乃、科学を題材に作品制作する西村勇人、映像と写真の境域にある時間感覚や視覚的違和感を探求する賀来庭辰(なおたつ)らが参加。最終日には、これらの展覧会からグランプリが選ばれる。

杉山有希子 CLASH ©︎ Yukiko Sugiyama

 また、「Exhibition」では、自身が生まれ育った京都を詩的な眼差しで切り取る柴田明蘭(あきら)、神社や墓所を畏怖の念と密かな懐かしみを感じさせる視点でとらえる大橋一弘、シャボン玉を皮膜に見立て自身の母校や箱根の自然を撮影した大橋愛など、気鋭の写真家がギャラリーや元小学校、歴史ある建造物で展示を行う。

鬼頭志帆 Another Way of Telling, New Stories from India and Japa © Shiho Kito Pikari

 それらに加え、5つの展覧会で構成される「Special Exhibition」、国内外のギャラリーが開催する7つの展覧会「Gallery Program」、教育機関、文化施設らと協働した「Associated Program」を通して世界9ヶ国から約100名のアーティストが集結、市民参加型のプログラムも実施される多彩な「KG+」。歴史ある京都の街と新たな表現がもたらす、思いがけない交流や発⾒を楽しみたい。

野村幹太の展示風景(KG+2017より) 吉田寮