「女子美」の名で知られる女子美術大学は、女性に対して高等教育機関における美術教育への門戸が開かれていなかった1900年に、「芸術による女性の自立」「女性の社会的地位の向上」「専門の技術家・美術教師の養成」を目指して、美術教育を行う学校として創立。日本で唯一、女性のみが学ぶ美術教育機関だ。
3月1日より東京都美術館で開催される「JOSHIBISION」は、全学年からの選抜作品により構成されている企画展で、故・南嶌宏ディレクションにより「女子美スタイル」として2014年度まで開催された選抜卒業・修了制作展の後続となる。また昨年に引き続き、短期大学部教授の山本雄三がディレクターを務める。
山本のディレクションにより、今年は在学生に加えて卒業生の特別展示を実施。参加作家は「家族の記憶」などをテーマに古物を利用した作品を手がける飯嶋桃代や、絵画、壁画、映像といった様々な手法を通して、あらゆる生命の眼差しを内在化させた物語性のある作品を発表してきた大小島真木。そして死生観などをテーマにした繊細かつ大胆な筆致で異形なるモチーフを描く小松美羽、心に残るさりげない日常風景をもとに穏やかな色彩の木版画をつくる中村美穂、音や色、時間など、とどめることができない世界を絵画で表現する西田知世の5名。
タイトルの「JOSHIBISION」は、JOSHIBI×EXHIBITION×VISIONをつないだ造語で、「いまを生きる、等身大の学生たちのさまざまな視点が集まり、ともに未来を見つめていこう」というメッセージが込められている。新たな才能に出会えるチャンスでもある学生選抜作品展で、想像力が織りなす多彩な表現を見届けたい。