同時代の社会と人間の多様な側面をうつしだす現代美術。とくにこの10年は、政治や経済、環境問題から、SNSの普及や人工知能などのテクノロジーの発展まで、人間を取り巻く世界にはめまぐるしい変化が起き、美術の動向も多様化している。
本特集は、そんな2010年代の現代美術において注目すべき動向をまとめた、最新の美術事典だ。「イズム」や「流行」など、大きな流れでとらえることが難しくなった世界の現代美術を、100のキーワードをとおして読み解く。
欧米、日本およびアジアの美術動向、美学、テクノロジー、キュレーション、保存修復、アート・マーケットなど11のカテゴリーにわけ、各分野の研究者たちが具体的な作品ビジュアルを交えて解説している。
キーワードには、グローバル・アートヒストリー、表現規制、バイオ・アート、人工知能、アート・アーカイヴ、ソーシャリー・エンゲイジド・アートなど、2010年代に目にするようになった動向や現象が挙げられ、背景や具体的な作品をふくめてそれぞれが簡潔にまとめられている。
また、この10年の世界の美術動向をたどった年表、2020年代の美術の展望を語った黒瀬陽平、椹木野衣らのエッセイも掲載。この10年、そしてこれからの10年を見通すためのヒントがつまった、美術にたずさわるあらゆる人にとって必読の1冊といえるだろう。