春日大社は、神護景雲2年(768年)に平城京の鎮護のために創建され、藤原氏の氏の社(うじのやしろ)として発展。朝廷から庶民まで広く信仰を集め、今日に至るまで国家鎮護の社として様々な祭祀を執り行っている。
また春日大社には、平安時代以降に奉納された美術品や甲冑、刀剣などが良好な保存状態のまま残されており、「平安の正倉院」とも呼ばれる。国宝と重要文化財、合わせて1300点以上を収める「国宝殿」は、昨年、第60次式年造替記念事業として弥田俊男の監修によりリニューアル。この国宝殿で、今年12月から創建1250年記念展が開催される。
記念展の第一弾は、時の権力者たちが技術の粋を尽くして制作し、神に奉納した刀剣の数々を展示する「伝説の名刀たち(仮題)」。鞘に螺鈿の猫の図案が施され、昨年の調査で高純度の金の使用が判明したことでも話題となった国宝《金地螺鈿毛抜形太刀》も期間限定で公開される。春日大社には各時代の様式を代表するような刀剣がそろっており、日本の刀剣の歴史をたどることもできるような展示となるという。
第二弾の展示は、「神前を飾る美術(仮題)」。神職以外一切立入が禁止されている春日大社の本殿を装飾する美術品を公開する。御簾、板絵、獅子・狛犬など、造替により撤下された実物を展示し、本殿の神秘的なすがたを間近で体験することができる。
また、春日大社の境内にほど近い奈良国立博物館においても、来年4月から「国宝 春日大社のすべて」と題した展覧会を開催。前述の《金地螺鈿毛抜形太刀》や、《蒔絵箏》、《赤糸威大鎧(竹虎雀飾)》(すべて国宝)など、春日大社の宝物約200点が公開される。